四季のある国・日本で生まれた数々の日本語の歌。
ここでは歌詞や曲調に春夏秋冬、山川草木、花鳥風月が登場する歌を「花鳥風月歌」と名付けて、平成以降を「現代日本」と定義して、現代日本人の自然観が反映されながら平成以降に作成された「現代日本の花鳥風月歌」を私なりに50曲を選曲して選曲集を作成してみました。
この選ばれた50曲の中に皆さんのお好きな歌も含まれているかどうか、どうぞご確認ください。
どの曲にもカバー曲も添えましたので、「この歌はどんな歌だっけ?」と、気になる歌があれば、どうぞカバー曲をお聴きしてご確認ください(カバー曲は小林が作成しました)。
数えきれないほどたくさんある名曲の中から50曲を選び出すまでに3年の月日を費やしました。ついに完成です。それでは、どうぞ御覧ください。
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1曲目 川の流れのように (平成元年)
  作詞/秋元康  作曲/見岳章 
  ~ああ 川の流れのように おだやかに この身を まかせていたい~
  「川の流れは人生そのもの」。日本歌謡界の不死鳥・美空ひばりが生前最後に歌って遺した人生讃歌。

 

2曲目  春よ、来い  (平成6年)
  作詞・作曲/松任谷由美
  ~春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに~
  暖かくなってきたと思ったら寒が戻り、目覚めそうで目覚めきらない、三寒四温の早春の空気を曲から感じます。

 

3曲目  蕾  (平成19年)
  作詞・作曲/小渕健太郎 
  ~消えそうに 咲きそうな 蕾が 今年も僕を待っている~
  きれいに花が咲くと、多くの人々は喜んで観賞します。でも、花が咲く前の蕾を愛でて、花開くまでそっと見守る人もいます。 

 

4曲目  花は咲く  (平成24年)
  作詞/岩井俊二 作曲/菅野よう子 
  ~花は 花は 花は咲く わたしは何を残しただろう~
  地震、津波、台風、火山・・・。大勢の人達が命を奪われてゆく災いの後にも、花は咲きます。

 

5曲目  いっぽんの松 (平成23年)
  作詞:喜多條忠  作曲:船村徹
  ~戻る人達 迎えるために 残った祈りの 松がある~
  3月11日の大津波にさらわれた陸前高田の松原に、一本だけ残った「奇跡の一本松」を歌っています。

 

6曲目  旅立ちの日に  (平成3年)
  作詞:小嶋登 作曲:坂本浩美
  ~勇気を翼にこめて 希望の風にのり このひろい大空に 夢をたくして~
  卒業して新たな門出を迎える人々を、広い大空へと巣立って自由を駆ける鳥に例えています。

 

7曲目    (平成24年)
  作詞:なかにし礼 作曲:平尾昌晃
  ~櫻、櫻 夢かうつつか 僕を抱きしめる あなたの幻~
  日本で「花」といえば、さくら。日本人は数々の「さくらソング」を生み出し続け、「さくら、さくら」と歌って喜びや悲しみや様々な想いをさくらに託してきました。

 

8曲目  さくら(独唱) (平成15年)
  作詞・作曲/森山直太朗 
  ~さくら さくら 今、咲き誇る 刹那に散りゆく 運命と知って~
  咲き誇る桜の花だけではなく、散りゆく桜の花にも心を寄せようとする、日本人の感性。

 

9曲目  桜色舞う頃  (平成17年)
  作詞・作曲/川江美奈子
  ~めぐる木々たちだけが ふたりを見ていたの ひとところにはとどまれないと そっとおしえながら~
  木は春に花を咲かせて夏に葉を茂らせて、秋に葉を彩り冬に葉を落とし、同じ営みを繰り返しながら数十年も数百年もその場に鎮座して人々の営みを静かに見守っています。

 

10曲目  世界に一つだけの花  (平成15年)
  作詞・作曲/槇原敬之
  〜一人一人違う種を持つ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい〜
  世間の目に縛られながら生きている日本人達に、各々の個性を輝かせながら咲いている様々な色の花が語りかけているよう。

 

11曲目  春のかたみ  (平成18年)
  作詞・作曲/松任谷由実
  ~儚い春のかたみには いちばん綺麗な私を~
  長く寒い冬を乗り越えた後にようやくやって来る暖かな春、美しく咲く花々。桜の花も散った晩春の季語に「春の別れ」や「春のかたみ」があり、春を去ってゆくことを惜しみます。 

 

12曲目  晴れたらいいね  (平成4年)
  作詞・作曲/吉田美和
  ~抱えられて 渡った小川 今はひらり 飛び越えられる~
  山へ小川へ飛び出したくなる良き季節。晴れたらいいね。

 

13曲目  地上の星  (平成12年)
  作詞・作曲/中島みゆき
  ~ツバメよ 高い空から 教えてよ 地上の星を~
  「すぐ足元の地上にも星が煌めいているのに、人々は星は遠い空の彼方にしかないと思って空ばかり見ている」と歌っています。

 

14曲目    (平成25年)
  作詞・作曲/桑田佳祐
  ~闇に飛び交う蛍に連れて 君が居た気がする~
  蛍の光は亡き人の魂の姿。そんな幻想を抱かせるほのかな光。 

 

15曲目  蛍の提灯  (平成8年)
  作詞:阿久悠 作曲:宇崎竜童
  ~ホーホー蛍 ホの字の蛍 蛍の提灯 さげて行く~
  好きな男のもとへ夜道を通う女の恋心と、求愛の光を点しながら夜道を飛び交う蛍の情景。  

 

16曲目  麦の唄  (平成26年)
  作詞・作曲/中島みゆき
  ~麦は泣き 麦は咲き 明日へ育ってゆく~
  麦が実ると麦畑一面が黄金色に染まります。その光景に元気をもらう人もたくさんいるはず。

 

17曲目  はじまりはいつも雨  (平成3年)
  作詞・作曲/飛鳥涼
  ~君に逢う日は 不思議なくらい 雨が多くて~
  雨は大地を潤して草木を育みます。「恋人と逢う日は雨が二人を包んでくれる」と歌うこの歌は、雨への優しい眼差しであり、雨への賛歌です。

 

18曲目  花咲く旅路  (平成3年)
  作詞・作曲/桑田佳祐
  ~咲く紫は 旅路を彩る~
  初夏の田舎道の風景を歌っているよう。「咲く紫」とは、アジサイの花ではないのでしょうか。
  
19曲目  海の声  (平成27年)
  作詞/篠原誠  作曲/島袋優(BEGIN)
  ~海の声が 知りたくて 君の声を探している~
  海も風も山も川も声を発しているように感じる、そして、それらの声に自分の声も乗せてどこまでも飛ばせそうに感じる、波が絶え間なく押し寄せる浜辺の風景。

 

20曲目  ダイナミック琉球  (平成20年)
  作詞:平田大一 作曲:イクマあきら
  ~海よ祈りの海よ 波の声響く空よ 大地踏み鳴らし叩く 島の太鼓(てーく)ぬ響き~
  美しい海と空と大地、それらに見守られながら暮らしてゆける誇りと感謝。太鼓を叩いて踊って歌う、美しい海と人生への賛歌。

 

21曲目  火の国の女 (平成3年)
  作詞/たかたかし 作曲/猪俣公章
  ~熱か 熱か こころもからだも 熱か~
  世界最大級のカルデラ・阿蘇。そして霊峰・富士をはじめ、日本列島には火山がいくつも連なっています。日本列島は火山列島、日本は火の国。

 

22曲目  向日葵  (令和5年)  
  作詞・作曲/みゆはん
  〜ああ 向日葵のように咲いて 天を仰いで笑って〜
  「ひまわり」という題名の曲がたくさん作成されています。ひまわりは「力強さ」「明るさ」などを象徴するような花を咲かせて、多くの人々を惹きつけます。

 

23曲目  パプリカ (平成30年)
  作詞・作曲/米津玄師
  ~パプリカ 花が咲いたら 晴れた空に種を蒔こう~
  ピーマンの仲間の野菜、パプリカ。その皮は赤、橙、黃、紫、白、黒などの様々な色に染まり、「多様性」を謳歌しています。

 

24曲目  夏色 (平成10年)
  作詞・作曲/北川悠仁
  ~この細い細い裏道を抜けて 誰もいない大きな夜の海見ながら~
  風鈴、網戸、夜の海、波の音、線香花火・・・夏の風景をつづった夏色の1曲。

 

25曲目  いつか風になる日  (平成15年)
  作詞・作曲/岡本定義
  ~幾千の歳月を 波が弄ぶ 麗らかな陽の中で 私も風になる~
  いずれ誰もが迎える「風になる日」。その日の心象を歌っています。

 

26曲目  少年時代 (平成2年) 
  作詞/井上陽水  作曲/井上陽水、平井夏美
  ~夏が過ぎ 風あざみ~ 
  夏が過ぎ去ろうとしてゆく季節の心象風景を歌っているようです。「風あざみ」「宵かがり」「夢花火」などの複数の造語が歌詞に登場しています。

 

27曲目  イロトリドリ ノ セカイ  (平成10年)
  作詞・作曲/TAKUYA
  ~色とりどりのガラスみたいな涙の美しさ 七色は初秋の風に乗る~  
  夏が過ぎ去ってゆき、爽やかな空気を感じ始める初秋の頃の心模様を歌っているようです。

 

28曲目  Sons and Daughters 〜それより僕が伝えたいのは  (平成5年)
  作詞・作曲/飛鳥涼
  ~風 薫 海 航 空 翔~
  風は薫り、海や空は広がり、この美しき世界。子供達へ大人達が伝えたいのは。

 

29曲目  カブトムシ  (平成11年)
  作詞・作曲/aiko
     こちらをクリックするとこの曲のカバー曲をお聴きになれます。
  ~甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし~
  カブトムシは夏に活動する虫ですが、この曲の作詞者は冬の曲として作詞したらしいです。結果的にこの曲は秋を感じさせるような曲になっていると個人的に私は思っています。

 

30曲目  Hungry Spider  (平成11年)
  作詞・作曲/槇原敬之
  ~この巣にかかる愛だけを食べて あの子を逃がした~
  巣にかかった獲物の蝶に恋をする、変な蜘蛛の物語。
  
31曲目  千の風になって  (平成13年)
  作詞/不詳 日本語訳/新井満 作曲/新井満
  ~千の風になって あの大きな空を 吹きわたっています~
  人としての一生は終えたけれども、風になったり、光になったり、雪になったりしてあなたを見守ります。普段はお墓にはいないけれども、お盆やお彼岸の時期にはお墓に戻ってきます。

 

32曲目  三日月  (平成18年)
  作詞/絢香  作曲/西尾芳彦
  ~君も見ているだろう この消えそうな三日月~
  大切な人は遠く離れた街で暮らしているけれども、同じ月の下でつながっていると歌っています。

 

33曲目  白雲の城  (平成15年)
  作詞/松井由利夫  作曲/水森英雄  
  ~城 黙して語らず 天 永久に動かず 人 人のみ 心揺れて・・・~
  この世は無常。苔がむす石垣、朽ちた葉が積もる大手門、荒城の風景。

 

34曲目  渡良瀬橋  (平成5年)  
  作詞/森高千里  作曲/斎藤英夫
  ~あなたが好きだといったこの街並みが 今日も暮れてゆきます~
  栃木県足利市を流れる渡良瀬川に架かる渡良瀬橋から見る夕景は見事だと評判。

 

35曲目  テルーの唄  (平成18年)
  作詞/宮崎吾郎 作曲/谷山浩子
  ~いつも一羽で飛んでいる タカはきっと悲しかろう~
  大空で風に乗って悠々と舞うタカの姿が悲しく見えてしまう心情の人もいます。

 

36曲目  もののけ姫  (平成9年)
  作詞/宮崎駿  作曲/久石譲
  〜悲しみと怒りにひそむ まことの心を知るは 森の精 もののけ達だけ〜
  植物が繁殖しやすい日本列島のあちらこちらに森林が広く覆っています。人が足を踏み入れたことのない深い森もあり、そこでは人が出会ったことのないようなもののけ達も暮らしているかもしれません。

37曲目  白い雲のように  (平成8年)
  作詞/藤井フミヤ  作曲/藤井尚之
  ~遠ざかる雲を見つめて まるで僕たちのようだねと君がつぶやく~
  地面ばかりを見ていないで、ときどき空を見上げましょう。いろんな形をした雲が流れてゆく様子を楽しめる心でありますように。

38曲目 涙そうそう  (平成10年)
  作詞/森山良子  作曲/BEGIN
  ~晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔~
  一番星を見ては思い出し、夕暮れを見ては思い出し、晴れても雨の日にも思い出して、涙が溢れてくると歌っています。
  
39曲目  三都物語  (平成4年)
  作詞/多夢成人  作曲/谷村新司
  ~昨日 今日 明日 変わり行く私 紅くいろづくときめきを 誰につげましょう~
  旅に出て、見たことのない風景に出会い、会ったことのない人達に出会う。湧いて出てくる気持ちを歌っています。
  
40曲目  渡月橋 〜君 想ふ〜  (平成29年)
  作詞/倉木麻衣  作曲/徳永暁人
  〜から紅に染まる渡月橋 導かれる日 願って〜
  秋の紅葉などでも有名な京都府の渡月橋の風景に絡めながら恋心を雅に歌っています。

 

41曲目 カンパニュラの恋  (平成20年)
  作詞/平原綾香  作曲/フレデリック・ショパン、椎名邦仁
  〜かえる場所は ふたり過ごした カンパニュラの刻(とき)〜
  カンパニュラ(ふうりんそう)は夏に花を咲かせますが、ショパンの夜想曲に歌詞をつけたこの曲は、夏の頃を思い出しながら冬にききたくなる一曲ではないかと思います。

42曲目 everlasting snow  (平成28年)
  作詞:aimerrhythm  作曲:林奈津美
  ~冬の奇跡 今年も街を白く染めて~
  クリスマスには世界中の人々が平和を祈って祝います。その時に降る白い雪も、まるで平和を祈っているかのよう。

43曲目  北風~君に届きますように~  (平成4年)
  ~今 君がこの雪に気付いてないなら 誰よりも早く教えたい 心から思った~
  あまり雪が降らない地域で暮らしている人達が雪に出会うと、この歌詞のような気分になると思います。

 

44曲目  Winter,again  (平成11年) 
  作詞・作曲/TAKURO
  〜滔々と降る白い雪は 無常なる人の世を 全て許すように降り続いて行く〜
  豪雪地帯での雪景色が歌われています。雪と共に暮らし、厳しくも日々強く生きている人々。

45曲目  スターライトパレード  (平成23年)
  作詞/深瀬 慧  作曲/中島真一
  ~星が降る眠れない夜に 僕達を連れて行ったあの世界~ 
  夢か現か、星の降る眠れない夜のパレードが壮大で哀愁漂うメロディーで表現されています。

46曲目  明け星  (令和3年)
  作詞・作曲/梶浦由記
  ~昏い空には明け星が未来を どうしても指して動かないから~
  昏い夜が明ける頃に東の空でどの星よりも力強く輝いている明けの明星。力強く自分を見下ろしています。

 

47曲目  山河  (平成12年)  
  作詞/小椋佳  作曲/堀内孝雄
  ~人は皆 山河に生まれ 抱かれ、挑み~ 
  人の命は短くてはかないですが、山河は長い年月、幾多の人々の生き死にを見守り続けながら存在します。
  
48曲目  愛は花、君はその種子  (平成3年)
  作詞・作曲/アマンダ・マクブルーム  訳詞/高畑勲
  ~冬 雪に埋もれていても 種子は春 おひさまの愛で 花ひらく~  
  「寒い冬の後には必ず暖かな春がやって来る」と多くの歌で歌われてきましたが、この歌もまた、美しい歌詞でそのように励ましています。

 

49曲目  花鳥風月  (平成22年)
  作詞・作曲/森山直太朗、御徒町凪
  〜花鳥風月 それもまた言の葉の綾〜
  日本列島の美しい自然の風景が「花鳥風月」という美しい言葉を生み出しました。詩歌を詠んだり俳句を詠んだり、日本人は日本の自然の美しさを言葉で表したいと強く願ってきました。

 

50曲目  人生の贈り物~他に望むものはない~   (平成15年)
  作詞/楊姫銀、さだまさし  作曲/さだまさし
  〜季節の花がこれほど美しいことに 歳を取るまで少しも気づかなかった〜
  歳を取るにつれて周りの花の見方も変わってゆくようです。人生の最後には「自然は美しい。他に望むものはない」と思えるようになれればよいです。
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おまけ・本当は「50選」の中に入れたかったのだけれども入れることができずに割愛された名曲も、以下に書き残しておきます。

 「ハナミズキ」「夜桜お七」「真夏の果実」「夏の終わり」「お岩木山」「ひこうき雲」「冬がはじまるよ」「冬のうた」「海雪」「白い恋人たち」